工場の暖房効率を高める方法5選!寒さ対策や節電にもつながる方法を紹介
冬場の工場はとても冷え込みやすく、暖房をフル稼働させても効果が出にくい場合があります。従業員の健康と生産性を守るうえで適切な空調をおこなうことは重要ですが、暖房のパワーを強くして稼働させると電気代が気になるのも正直なところです。
近年では、原材料やエネルギーなどさまざまなものの価格が高騰していますが、電気代もその例外ではありません。電力を多く必要とする製造業においては、電気代の高騰が企業の経営に大きく影響を与えます。そのため企業は、暖房効率を向上させるポイントをおさえ、効率的に寒さの対策をおこなうことが求められるでしょう。
本記事では、工場が暖房が効きにくい理由や暖房効率を上げるためにできることについて解説します。
1.工場はなぜ暖房が効きにくい?
冬場の工場や倉庫はとても冷え込みやすく、暖房をフル稼働させても効果が出にくい場合があります。暖房が効きにくい理由としては以下が考えられるでしょう。
・空間が広くて天井が高い
・冷えやすい床が多い
・人間優先の現場にするのが難しい
・外気温の影響を受けやすい
それぞれ詳しく解説します。
1.1 空間が広くて天井が高い
工場は空間の面積が広く、天井が高い構造が一般的です。また、大きな製造機器や大量の資材を置くこともあるため、どうしても広い場所が必要となります。
広い空間全体を温めるには膨大な熱エネルギーを放出できる暖房が必要です。さらに暖房をしても、空気の性質上暖かい空気は上にあがってしまうので、作業をおこなう床付近は温度が低くなります。そのため暖房効率が低くなりやすく、暖気が逃げやすい環境なのです。
1.2 冷えやすい床が多い
工場の床材としてよく用いられるのはコンクリートです。工場内は作業をおこなったり、さまざまな機器・資材を置いたりするため、耐久性の高いコンクリートが適しているためです。
しかし、コンクリートは熱伝導率が高いという特徴があります。そのため、外気温の影響を受けやすく、冬場には冷気が発生して作業者の足元を冷やしてしまいます。これらの原因によって工場内は寒くなりやすく、従業員の健康や生産性に悪影響を及ぼしてしまうのです。
1.3 人間優先の現場にするのが難しい
工場や倉庫では製品や原材料の品質を保つために、一定の温度や湿度を保たなければいけないケースがあります。たとえば生鮮食品や精密機械などの場合、温度や湿度が一定でなければ品質に影響がでてしまうおそれがあるでしょう。そのため、製品の温度管理が優先され、人間優先の現場にすることが難しいのです。
また、一部の機械は高温でトラブルが発生しやすく、推奨される室温が決まっている場合もあります。そのため、必要以上に室内を暖かくするのが難しくなり、作業する従業員にとっては寒く感じてしまう環境になることが多いのです。
1.4 外気温の影響を受けやすい
2.工場の暖房効率を上げるには?
工場では適切な空調をおこなうことが求められますが、暖房をフル稼働させると電気代はかなり高くなります。そのため、暖房効率を向上させるポイントをおさえたうえで、寒さの対策をおこなう必要があるでしょう。暖房効率を上げるには、以下のポイントを実施してみてください。
・断熱材の活用
・ビニールカーテンの設置
・防寒マットの設置
・サーキュレーターの利用
・加湿器の活用
それぞれ詳しく解説します。
2.1 断熱材の活用
工場の壁や天井に断熱材を利用すると、外気温の影響を受けにくいです。よく聞く「断熱」とは、空間内の熱の移動を抑えることをいいます。断熱ができていないと、いくら暖房を効かせても冷えを感じたり、冷房をつけても暑さを感じたりします。
壁や天井に断熱材を利用すると、断熱材によって囲まれている空間内の熱が外へ移動しないため、工場全体の空調効率が上がります。また、空調効率の改善から経費削減効果も期待できるでしょう。
工場や倉庫によく使われる断熱材は、グラスウールやロックウールなどです。断熱材を入れるために必要な1平方メートルあたりの平均的なコストは、4,000円から8,000円程度となっています。
2.2 ビニールカーテンの設置
工場内をビニールカーテンで間仕切りすることによって、暖めた空気が逃げることなく、効率的に室内を暖められます。
先ほどの「2.1 断熱材の活用」でも触れましたが、空間内の空気が移動してしまうとなかなか暖房効率は上がりません。そこで工場内の適切な場所にビニールカーテンを設置すると、空気の移動をコントロールできるので室内の温度を安定させる効果があります。
一方で夏場においては逆に暑さを助長してしまうイメージもありますが、実際には暑さ対策としても有効です。ビニールの断熱効果は外部の暑さを内部に伝わりにくくする方向でも発揮される上、内部の冷房効率を高める効果も得られるためです。
2.3 防寒マットの設置
工場の床に防寒マットを敷けば、寒さを軽減できます。
立ち仕事が多い製造業では、足元の冷えを軽減することで作業の集中力や効率が向上します。防寒マットには断熱性能が高いものも多いので、足元への暖房も効率的に効かせられるでしょう。断熱マットのなかには自由にカットして使用できるタイプや、転倒・つまずき防止ができるタイプなどさまざまなタイプがあります。工場の環境によって使い分けましょう。
2.4 サーキュレーターの利用
先ほども触れましたが、空気の性質上暖かい空気は上にあがって、上がった暖かい空気はそのまま留まってしまいます。そのためいくら暖房を稼働させても、床付近は温度が上がりにくくなってしまうのです。
しかし、そこでサーキュレーターの出番です。サーキュレーターを使って上に溜まった暖かい空気を循環させると、部屋全体が効率的に暖かくなります。空気が循環して室内の温度差もなくなるので設定温度を上げることもなく、節電にもつながるでしょう。
「扇風機でもよいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、扇風機は人間に風を当てることを想定されているため、やわらかくて心地良い風が広範囲に送られるようにつくられています。一方でサーキュレーターは、空気を循環させることを重視しているため、遠くまで届くように直線的で強い風を発生する構造になっているのです。暖かい空気を循環させるためにも、サーキュレーターを使ってみましょう。
2.5 加湿器の活用
冬は気温が低いだけでなく湿度も低く乾燥しやすい季節です。乾燥した空気は肌から水分を奪いやすく、その気化熱により体感温度も下がります。湿度が30%変化すると、体感温度が1~2℃も変わると言われています。
そのため、体感温度の低下を防ぐためには加湿器の導入がおすすめです。加湿により体感温度が下がるのも抑えられるので、必要以上に設定温度を上げなくてもよくなるでしょう。
3.暖房機器にも工夫が必要
工場の暖房効率を上げる工夫をおこなうことはとても重要ですが、暖房機器も工夫することが求められます。
工場や倉庫で使う暖房機器は、用途や環境に適した能力があるか確認することが重要です。暖房機器にはさまざまな種類があり、特徴も違います。その特徴を捉えて、自分たちの用途やニーズ、工場の環境などに適したものを選ぶ必要があるということです。
たとえば、「出勤した時がものすごく寒いから早く暖められるようにしたい!」と考えているのに、暖まるまでにかなりの時間を要するものだとニーズを満たすことはできません。その場合は、速暖性のあるものを選ぶ必要があるでしょう。
このように、どんな用途で使うか、どのような場所で使うかを考えたうえで、その場にあった暖房機器を選びましょう。
3.1 おすすめは局所的に暖められる「移動式エアコン」
工場・倉庫のように空間が広い場所では、全体を暖めるより局所的に暖める方が効率的で推奨されます。
広い空間全体を暖めようとすると、どうしても室温にムラができやすく、暖房効率が悪くなってしまいます。その結果、エアコンの設定温度を上げすぎたり、長時間の稼働が必要になって電気代が高くなったりする原因になります。
作業員が集中する場所へ局所暖房を活用すると、必要な場所だけを効率よく暖められ、省エネで効果的な寒さ対策が可能です。
局所暖房の器具としておすすめなのが「移動式エアコン」です。
移動式エアコンは、直進性のある風で空気を遠くまで届け、冷暖房の効果を必要な範囲に集中させられる空調機器となっています。
一般的にほとんどの機種がキャスター付きのためかんたんに移動ができ、レイアウト変更時や特定の場所を重点的に暖めたい場合など、状況に応じて柔軟に使用できる点もメリットです。
移動式エアコンは以下のような人におすすめです。
・業務用エアコンよりも安いコストで、能力の高い空調機器を導入したい
・とくに冷やしたい・暖めたいエリアを定めて、快適な温度を保つ一定のエリアを作りたい
・一年を通して活用できる空調機器を導入したい
・工場・倉庫の形状にあわせて効果的に使用できる空調機器が欲しい
初期コストも抑えながら暖房効果を得られるので、コストパフォーマンスに優れた実用的な選択肢といえます。
4.工場の暖房には信越空調の「ヒエスポ」がおすすめ
「寒い冬を乗り越えるための暖房設備が欲しい」
そうお考えのあなたは、信越空調の「ヒエスポ」がおすすめです。
暖かい空気は上に向かってしまう性質があるため、広い空間で暖房をつけても空気はどんどん上へ向かってしまい、なかなか暖まらないことがあります。しかし、そんなときは「ヒエスポ」の出番です。直進性のある大風量の風を吹くので、足元などの低い場所に風を送ることが可能です。「ヒエスポ」の強力な風であれば広い空間でも効率的に暖められるでしょう。
(ただし、使用環境や使用方法によってはなかなか効果が感じにくいおそれがあります。事前に詳細の打ち合わせが必要となりますので、まずはお気軽にご相談ください。)
一番小さいサイズで2.8kW、一番大きいサイズで14.0kwの能力を備えており、環境にあわせて幅広い能力から選ぶことが可能です。ぜひ、信越空調の「ヒエスポ」をご検討ください。
5.移動式エアコン「ヒエスポ」の企業・工場への導入事例
5.1 株式会社山尾食品様|作業場所によって移動させて利用
導入機器
MAC1603 1台/MAC801 1台/吹き出し口ダクトセット
株式会社山尾食品様は、干物をメインとした食品加工・販売をおこなっている企業です。
株式会社山尾食品様は食品加工の工場が港の横にあり、塩害によって室外機が腐食して壊れてしまうため、空調機器の導入に頭を悩ませていました。
そこで、利用する時だけ設置し、利用しない時は室内に置いておける移動式の空調機器がよいのではと考え、ヒエスポを導入していただきました。
作業場所によって移動して利用できる利便性の高さにお喜びの声をいただいております。
5.2 株式会社竹山様(サツポロロジスティクスセンター)|除湿効果&冷房効果で快適
導入機器
MAC803 1台
株式会社竹山様は、医療機器・理化学機器の卸売をおこなっている企業です。製品の管理などをおこなうサツポロロジスティクスセンターにヒエスポを導入していただきました。
センター内は夏は温度が上がり、従業員たちの熱中症リスクが高まる環境でした。しかし、熱中症対策としてヒエスポを導入していただき、除湿効果&冷房効果で作業環境が改善されたとお喜びの声をいただきました。
6.工場の暖房効率に関するよくある質問
6.1 工場の天井にシーリングファンをつけると効果はありますか?
工場の天井にシーリングファン(大型の工業用ファン)を設置することは、暖房効率の向上に効果があります。
暖房によって温められた空気は軽いため、工場の高い天井付近に溜まってしまい、作業者がいる床付近の温度が上がりにくいという現象が起こります。
シーリングファンを稼働させることで、この天井付近に溜まった温かい空気を下向きに循環させることが可能です。
これにより床付近の冷たい空気と温かい空気が撹拌され、工場内の温度ムラが解消されます。結果として、設定温度を上げすぎることなく体感温度を上げることができ、暖房費の節約にもつながるのです。
6.2 工場の寒さ対策が必要な理由はなんですか?
工場のような環境は、一般的なオフィスや建物に比べるとかなり冷え込みが厳しくなります。そんな寒い環境で作業をおこなうと、以下のような問題を発生させるリスクがあります。
・従業員の健康被害(低体温症・免疫力の低下など)
・従業員の腰痛や関節痛といった慢性的な不調
・作業効率・生産性の低下
これらの問題が積み重なると、従業員の離職や経営の悪化、重大な事故の発生につながりかねません。
企業や管理者は、業務に支障が出ない適切な環境を作ることが求められます。
6.3 移動式エアコンとスポットクーラーの違いはなんですか?
「移動式エアコン」と「スポットクーラー」は、どちらも工事不要で移動可能な空調機器です。違いについてインターネットなどで検索すると、多くの場合ほぼ同じ意味で使われています。
厳密な定義によって違いが分けられているわけではないのですが、製品の傾向や用途によって、以下のようなニュアンスの違いがあることが多いです。
違い |
移動式エアコン |
スポットクーラー |
|---|---|---|
主な目的 |
直進性のある風がスムーズに遠くまで届き、冷やしたい・暖めたい場所の近くで稼働させ、快適な温度を保つ一定のエリアを作ることを目的としている 大風量の風が吹く専用吹き出し口・ルーバーが取り付けられていることが多い |
本体に蛇腹のホースのような風の吹き出し口があり、特定の場所の冷却を目的としている 作業中の人や熱を発する機械の周辺などかなり局所的な冷却をおこなうときに使われる |
機能性 |
冷房、暖房、除湿機能がついた多機能モデルが多い |
基本的に冷房専用 |
使用用途・使用される場所 |
基本的に業務用 工場や倉庫、大型施設など、広い空間のなかで定めたエリアをメインに稼働させることで、快適な温度を保つ一定のエリアを作ることが可能 |
基本的に家庭用 業務用でも使用されることがあるが、特定の少人数のみに対して使ったり、休憩場所のような小空間などで使用されたりする |
このように、明確な線引きがあるわけではありませんが、機能性や使用用途によって呼び方が変わる傾向にあります。
移動式エアコンとスポットクーラーの違いについてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。
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7.まとめ
本記事では、工場が暖房が効きにくい理由や暖房効率を上げるためにできることについて解説しました。
電力を多く必要とする製造業においては、電気代の高騰が企業の経営に大きく影響を与えると言っても過言ではありません。そのため企業は、暖房効率を向上させるポイントをおさえ、効率的に寒さの対策をおこなうことが求められます。暖房効率を向上させれば、従業員の健康と生産性を守れるうえに、経費削減効果も期待できるでしょう。
もし「暖房機器も効果的なものを導入したい」とお考えの方は、ぜひ一度信越空調にご相談ください。



