工場でできる熱中症対策4選!熱中症が増える原因と効果的な対策を解説
近年、日本の夏場の気温は高くなる傾向にあり、工場における熱中症によって従業員が体調不良に見舞われるケースが増えています。
工場の暑さ対策は、単に従業員の「快適さ」を求めるものではなく、いまや「従業員の命を守る安全配慮義務」であり、「離職を防ぎ、生産性を維持するための経営戦略」そのものです。
対策を怠れば、熱中症による労働災害のリスクだけでなく、作業効率の低下や深刻な人手不足を招くおそれがあります。
これらのリスクを回避するためにも、企業は早急な対策が必要です。
本記事では、工場で熱中症が多発する原因や対策方法についてご紹介します。おすすめの冷房機器に関しても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
1.工場でなぜ熱中症が多発するのか?
熱中症は、高温多湿な環境下での作業により体温調節がうまく働かなくなり、熱が体内にこもることで引き起こされます。
厚生労働省の報告によると、2019年から2023年の5年間において、製造業での熱中症による死亡者数は全体の約15%〜約22%を占めており、とても高い傾向にあることがわかります。工場で熱中症が起こってしまう理由は、工場内特有の環境や行動が熱中症が発生する条件と重なってしまうからです。
ここからは、なぜ工場で熱中症が多発する要因を解説します。
1.1 輻射熱により天井が温められる
工場内が高温になる原因として、太陽による輻射熱の影響が考えられます。輻射熱とは、物体から放射される赤外線によって、離れた物体に熱が伝わる現象のことを言います。
多くの工場では屋根や壁に熱を伝えやすいトタンや鉄板を用いているため、太陽からの輻射熱に長時間晒されることで、天井が高温になってしまいます。さらにその熱により、室内が温められ高温な環境が作り出されるのです。
1.2 熱がこもりやすい構造になっている
工場の構造の特性上、熱がこもりやすい作りになっているケースは多いです。たとえば多くの工場では、天井が高く、空間面積が広い構造が一般的です。
太陽や製造機器からの輻射熱によって温められたこの広大な空間を冷却しようとすると、空調効率が著しく低下してしまい、工場内に熱がこもりやすくなってしまいます。さらに、工場では衛生管理や精密管理、近隣への配慮から窓の設置が少ない傾向にあります。
これにより工場内の通気性は悪くなり、熱せられた空気を循環させることが難しいため、熱がこもりやすくなっているのです。
1.3 身体を使った作業が多い
工場では、身体を使った作業が多いことも熱中症が多発する要因として考えられます。工場の作業は、ラインでの組み立て作業や製品の品質を確認する検品作業、倉庫から製品を集めるピッキングや分類を行う仕分け作業など多岐に渡ります。
しかし、多くの作業は立ち仕事や長時間同じ姿勢での活動が多く、体力を非常に消耗します。熱中症は、疲労やストレスが溜まっている状態でも起こりやすく、このように疲労が溜まりやすい環境下では熱中症発生リスクが高まります。
1.4 製造工程で熱が発生する
製造機器からは、さまざまな理由で熱が生じることがあります。これらの発熱現象は、製造プロセスにおいて必要不可欠なものなので、避けて通ることはできません。
もちろん、作業員や機器本体の安全を守るための安全装置は取り付けられています。しかし、熱がこもりやすい工場内で長時間使用すれば、その分室温は上昇します。また、熱を発する機器の近くで長時間作業をおこなえば、直接的な熱の影響を避ける事はできません。
2.企業には従業員の安全を配慮する義務がある
気温の上昇傾向にある現代の日本では、今後さらに熱中症の発生リスクは高まっていきます。
企業としては、こうしたリスクに備え、従業員の安全に配慮することが必須です。労働契約法第5条にも、労働者の安全配慮に関する条文があるように、企業側には安全配慮が義務付けられています。
義務を怠った場合、企業には多くのリスクが生じます。たとえば、熱中症や事故によって従業員が怪我や死亡してしまった場合は損害賠償責任を問われ、事故によっては企業イメージのダウンにもつながります。また、熱中症対策を怠った場合、労働安全衛生法に基づく罰則、行政指導、勧告、業務停止命令の可能性もあります。
2.1 対策不足が招く「生産性低下」と「採用難・離職」の深刻なリスク
企業には従業員の安全を配慮する義務があることから、熱中症対策が求められますが、「生産性の向上」や「優良な従業員の確保と定着」の観点からも安全配慮が非常に重要です。
企業のなかには、暑さ対策を「福利厚生」や「コスト」と考えている企業もあります。しかし現代の製造現場において、対策の遅れは企業の利益を直接削る「経営リスク」そのものです。
人間は室温が25℃を超えると、1℃上がるごとに作業効率が約2%低下すると言われています。30℃を超える現場では、集中力の欠如による人的ミス、機械の誤操作、さらには作業スピードの鈍化が発生します。
また、現代の求職者や優秀な技術者は、給与条件と同じくらい「就業環境」を重視します。工場や製造現場の暑さ対策をおこなっていなければ、「この暑さの中で定年まで働くのは無理だ」と従業員が感じ、従業員の確保や定着が難しくなるでしょう。
暑さへの対策・熱中症対策は、単なる「コスト」ではなく、「生産性の向上」や「優良な従業員の確保と定着」のための戦略的投資であると捉え直すことが重要です。
2.2 管理者が遵守すべき「WBGT(暑さ指数)」の管理基準
熱中症対策を検討する際、多くの現場で「室温」が指標にされますが、実はそれだけでは不十分です。現在、厚生労働省が強く推奨し、現場管理のスタンダードとなっているのが「WBGT(暑さ指数)」です。
WBGTとは、気温だけでなく、湿度や輻射熱(床や壁からの熱)、気流を取り入れた指標です。熱中症のリスクは、気温よりも「湿度の高さ」や「照り返しの熱」に大きく左右されるため、WBGTでの管理が不可欠となります。
WBGT値を把握せず、従来の「勘」や「室温」だけで運用することは、従業員を未知の危険にさらすことと同義です。まずは現場の数値を可視化し、基準値を超えた場合の「物理的な冷却手段」をあらかじめ備えておくことが、管理者の重要な責務となります。
3.工場の現場でできる熱中症対策
企業側には安全配慮が義務付けられているので、事故・労災を起こさないためにも十分な対策が求められます。
ここからは実際に、工場でできる熱中症対策について4つご紹介していきます。
・スポットで涼しくする機器の導入
・遮熱シートや遮熱塗料の活用
・ビニールカーテンで空間を遮断する
・熱の発生源に給排気フードを設置する
3.1 スポットで涼しくする機器の導入
もっともおすすめなのが、スポットで涼しくする機器の導入です。
従業員のいる場所や作業をおこなう場所をピンポイントで涼しくする機器を導入すれば、大型エアコンだけで涼しくできないところもカバーできるようになります。工場全体を涼しくするより、スポットで温度を下げることで効率的に適温を作り出せるでしょう。
ただし、機種によっては性能が低いものもあり、工場内ではあまり涼しさが感じられないものもあります。空調として性能をチェックしたうえで、効果的に活用できるものを選びましょう。
3.2 遮熱シートや遮熱塗料の活用
次に、遮熱シートや遮熱塗料の活用も効果的です。
多くの工場の壁や屋根はトタンや鉄板でできており、太陽の熱を吸収しやすいため、室温が上がりやすくなります。屋根や壁に遮熱シートや塗料を使用することで、熱の吸収を抑え、断熱効果が期待できます。
また、室内の冷気を逃がしにくくする効果もあり、工場内の温度を安定させるのに役立ちます。
3.3 ビニールカーテンで空間を遮断する
エアコンとビニールカーテンを組み合わせて使用することで、比較的安価に暑さ対策をおこなうことができます。
カーテンによって空間を遮断することで、冷えた空気を外に逃がさずに、エアコンを使用することが可能です。また、冷やす空間を限定することができるので、空調効率も上げることができます。
エアコン稼働の電気代と導入コストの両方の面からも、経済的な方法になります。
3.4 熱の発生源に給排気フードを設置する
給排気フードは、工場や厨房などで熱気や湯気を排気し、それと同時に新鮮な空気を給気してくれる換気装置です。熱がこもりやすい工場内で熱気を効率よく換気してくれるので、室温の上昇を抑えることができます。
ただ、導入には工事が必要で、初期費用と継続的なメンテナンスにコストがかかるのがデメリットとしてあげられます。
4.工場の冷房には信越空調の「ヒエスポ」がおすすめ
「従業員が快適に働ける環境を作りたい」
そうお考えのあなたは、信越空調の「ヒエスポ」がおすすめです。
ヒエスポは直進性のある大風量の風を吹くので、とくに冷やしたい場所の近くで稼働させることで、快適な温度を保つ一定のエリアを作ることができます。
また、冷房を使いながら空間を除湿可能なため、乾いた冷気を浴びながら汗を乾燥させることで体感温度をグッと下げることができます。湿度を下げることは熱中症の予防にも最適です。
お客様に合わせたさまざまな機種を、販売からレンタル・リースまで幅広く対応しています。ぜひ、信越空調の「ヒエスポ」をご検討ください。
5.移動式エアコン「ヒエスポ」の企業・工場への導入事例
5.1 株式会社山尾食品様|作業場所によって移動させて利用
導入機器
MAC1603 1台/MAC801 1台/吹き出し口ダクトセット
株式会社山尾食品様は、干物をメインとした食品加工・販売をおこなっている企業です。
株式会社山尾食品様は食品加工の工場が港の横にあり、塩害によって室外機が腐食して壊れてしまうため、空調機器の導入に頭を悩ませていました。
そこで、利用する時だけ設置し、利用しない時は室内に置いておける移動式の空調機器がよいのではと考え、ヒエスポを導入していただきました。
作業場所によって移動して利用できる利便性の高さにお喜びの声をいただいております。
5.2 株式会社竹山様(サツポロロジスティクスセンター)|除湿効果&冷房効果で快適
導入機器
MAC803 1台
株式会社竹山様は、医療機器・理化学機器の卸売をおこなっている企業です。製品の管理などをおこなうサツポロロジスティクスセンターにヒエスポを導入していただきました。
センター内は夏は温度が上がり、従業員たちの熱中症リスクが高まる環境でした。しかし、熱中症対策としてヒエスポを導入していただき、除湿効果&冷房効果で作業環境が改善されたとお喜びの声をいただきました。
6.よくある質問
6.1 工場の暑さ対策に法的な義務はありますか?
労働契約法第5条に基づく「安全配慮義務」があります。
事業者は、労働者が生命・身体等の安全を確保しつつ働けるよう、必要な配慮をする義務を負っています。近年の記録的な猛暑の中、適切な暑さ対策を講じずに従業員が熱中症を発症した場合、安全配慮義務違反として損害賠償を問われるリスクが高いです。
また、厚生労働省の指針でもWBGT値(暑さ指数)の管理が強く推奨されています。
6.2 広い工場の一部だけを冷やすのは効果がありますか?
非常に効果的です。とくに「局所冷房(スポット冷房)」はもっとも効率の良い方法です。
天井が高く広大な工場全体を冷やすには膨大なコストがかかりますが、従業員が作業するエリアや熱源の周辺だけをピンポイントで冷やすことで、最小限の電力で熱中症リスクを劇的に下げることができます。
移動式エアコン「ヒエスポ」は、まさにこの「必要な場所だけを冷やす」ことに特化した設計になっています。
6.3 予算が限られている場合、まず何から手をつければいいですか?
まずは「即効性」のある局所的な冷房の導入を検討してください。
屋根の塗装や断熱工事は効果が高いですが、コストが数百万円単位になることも多く、工事期間もかかります。一方、移動式エアコンであれば1台数十万円から導入でき、届いたその日から従業員を守ることができます。
「まずはヒエスポで喫緊の熱中症リスクを排除し、その後、予算に合わせて構造的な対策を検討する」というステップが、多くの工場で採用されているもっとも現実的な方法です。
6.4 移動式エアコンとスポットクーラーの違いはなんですか?
「移動式エアコン」と「スポットクーラー」は、どちらも工事不要で移動可能な空調機器です。違いについてインターネットなどで検索すると、多くの場合ほぼ同じ意味で使われています。
厳密な定義によって違いが分けられているわけではないのですが、製品の傾向や用途によって、以下のようなニュアンスの違いがあることが多いです。
違い |
移動式エアコン |
スポットクーラー |
|---|---|---|
主な目的 |
直進性のある風がスムーズに遠くまで届き、冷やしたい・暖めたい場所の近くで稼働させ、快適な温度を保つ一定のエリアを作ることを目的としている 大風量の風が吹く専用吹き出し口・ルーバーが取り付けられていることが多い |
本体に蛇腹のホースのような風の吹き出し口があり、特定の場所の冷却を目的としている 作業中の人や熱を発する機械の周辺などかなり局所的な冷却をおこなうときに使われる |
機能性 |
冷房、暖房、除湿機能がついた多機能モデルが多い |
基本的に冷房専用 |
使用用途・使用される場所 |
基本的に業務用 工場や倉庫、大型施設など、広い空間のなかで定めたエリアをメインに稼働させることで、快適な温度を保つ一定のエリアを作ることが可能 |
基本的に家庭用 業務用でも使用されることがあるが、特定の少人数のみに対して使ったり、休憩場所のような小空間などで使用されたりする |
このように、明確な線引きがあるわけではありませんが、機能性や使用用途によって呼び方が変わる傾向にあります。
移動式エアコンとスポットクーラーの違いについてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。
▶︎「関連記事を読む」
6.5 スポットクーラーは導入しても意味がないですか?
スポットクーラーが「意味がない」と感じられる主な理由は、広い空間を効率的に冷やすことができない、排熱処理の問題で部屋全体の温度が上がってしまう、高温多湿な環境には冷却効果が不十分であることなどが挙げられます。
スポットクーラーはその名の通り「スポット(点)」を冷やすことに重点を置いた空調機器です。そのため、特定の場所をピンポイントで冷やすことに特化しています。そのため広い空間や温度が高すぎる場所での使用は向いていません。
もし「もう少し能力の高い空調機器が欲しい」「もっと快適な温度を保つ一定のエリアを作りたい」ということであれば、別の空調機器を導入することをおすすめします。
7.まとめ
本記事では、工場における熱中症の要因とその具体的な対策について紹介しました。
工場の現場でできる熱中症対策についておさらいしましょう。
熱中症対策 |
内容 |
|---|---|
スポットで涼しくする機器の導入 |
工場全体を涼しくするより、スポットで温度を下げることで効率的に適温を作り出せる |
遮熱シートや遮熱塗料の活用 |
屋根や壁に遮熱シートや塗料を使用することで、熱の吸収を抑え、断熱効果が期待できる |
ビニールカーテンで空間を遮断する |
空間を遮断することで、冷えた空気を外に逃がさずに、エアコンを使用することが可能 |
熱の発生源に給排気フードを設置する |
熱がこもりやすい工場内で熱気を効率よく換気してくれるので、室温の上昇を抑えることが可能 |
従業員の安全を考慮することは、企業側にも労働者側にも大切なことです。企業側には安全配慮が義務付けられているので、熱中症を発生させないためにも、工場の対策は万全にしておきましょう。
もし「冷房機器も効果的なものを導入したい」とお考えの方は、ぜひ一度信越空調にご相談ください。



