労働安全衛生法で工場が守るべき義務とは?2026年の改正と熱中症対策を解説
「工場で労働安全衛生法の義務内容を把握したいけど、どこから手をつければいいかわからない」
「2025年6月に熱中症対策が義務化されたと聞いたけど、具体的に何をすればいいの?」』
工場の安全衛生管理責任者として、法令遵守と従業員の安全確保に取り組んでいる方も多いですよね。とくに2025年6月の熱中症対策義務化や2026年の法改正により、対応すべき事項が増えて不安を感じているケースも少なくありません。
工場における労働安全衛生法の義務は、規模や業種によって異なります。自社工場の規模に応じて、必要な対策を漏れなく実施することが重要です。
本記事では、労働安全衛生法の概要やすべての工場に義務付けられる主な対策などについて解説します。
1.労働安全衛生法とは?企業が守るべき基本的な義務
労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律です。
工場事業者には、単に法律で定める最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、労働者の安全と健康を確保する責務があります。この責務を果たすために、事業者は危険性・有害性を評価し、その結果に基づいて必要な措置を講じなければなりません。
違反した場合は、50万円以下の罰金が科されるだけでなく、労働災害が発生した際に企業の社会的信用を大きく損なうリスクがあります。
1.1 工場の規模別に求められる安全衛生管理体制
工場の規模によって、選任が必要な管理者が異なります。
工場の規模 |
選任が必要な管理者 |
|---|---|
常時50人以上 |
総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医 |
常時10人以上50人未満 |
安全衛生推進者または衛生推進者 |
10人未満 |
選任義務なし(ただし事業者自身が安全衛生管理を行う必要がある) |
工場の規模に応じた管理体制を整備しましょう。
2.すべての工場に義務付けられる主な対策
工場の規模にかかわらず、すべての事業者に義務付けられている対策があります。以下の4つの対策を確実に実施しましょう。
・安全衛生教育の実施(雇入れ時・作業変更時・特別教育)
・健康診断の実施(年1回以上、特定業務は6ヶ月に1回)
・危険防止措置(機械設備の安全装置設置、作業環境の整備)
・リスクアセスメントの実施
それぞれ詳しく解説します。
2.1 安全衛生教育の実施(雇入れ時・作業変更時・特別教育)
労働安全衛生法第59条では、労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときに、安全衛生教育を実施することが義務付けられています。
雇入れ時教育では、機械や原材料の危険性、安全装置や保護具の使用方法、作業手順、事故発生時の応急措置などを教育します。また、フォークリフトの運転やアーク溶接など、危険または有害な業務に労働者を就かせるときは、特別教育を実施しなければなりません。
教育を実施しなかった場合や不十分な教育しか行わなかった場合は、50万円以下の罰金が科される可能性があり、実際に労働災害が発生した際には安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われるリスクもあります。
2.2 健康診断の実施(年1回以上、特定業務は6ヶ月に1回)
事業者は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を実施する義務があります。
また、深夜業や高温場所での業務など、特定の有害業務に常時従事する労働者については、6ヶ月以内ごとに1回の健康診断が必要です。健康診断の結果は5年間保存し、異常所見があった労働者については医師の意見を聴き、必要に応じて就業制限や作業転換などの措置を講じなければなりません。
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、健康診断の結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務もあります。
2.3 危険防止措置(機械設備の安全装置設置、作業環境の整備)
工場では、機械による挟まれ・巻き込まれ、墜落・転落、感電など、さまざまな危険が存在します。事業者は、これらの危険を防止するための措置を講じる必要があります。
具体的には、プレス機械やシャーなどの危険な機械には安全装置を設置し、高さ2メートル以上の場所で作業をおこなう場合は墜落防止用の手すりや安全帯を使用させます。また、通路の確保や採光・照明の確保、換気設備の設置など、作業環境を適切に整備することも求められます。
2.4 リスクアセスメントの実施
リスクアセスメントとは、職場に潜む危険性や有害性を特定し、それによるリスクを見積もり、優先度を決めて低減措置を実施する一連の取り組みです。
2006年の労働安全衛生法改正により、事業者にはリスクアセスメントの実施が努力義務として課されています。とくに化学物質を取り扱う事業場では、2016年から一定の化学物質についてリスクアセスメントが義務化されました。
具体的には、機械設備や作業ごとに「何が危険か」「どのくらいの頻度で起こりうるか」「起きたらどのくらいの被害になるか」を評価し、リスクの高いものから優先的に対策を講じます。
3.工場の熱中症対策を徹底する具体的な方法【2025年6月義務化対応】
2025年6月に義務化された熱中症対策について、具体的な実施方法を解説します。対象となる工場では、以下の5つの対策を確実に実施しましょう。
対策①報告体制の整備と周知
対策②応急措置手順の作成と訓練
対策③WBGT値の測定と評価
対策④WBGT値を効果的に下げる環境改善【移動式エアコンの活用】
対策⑤水分・塩分補給と休憩時間の確保
それぞれ詳しく解説します。
3.1 対策①報告体制の整備と周知
熱中症対策の第一歩は、異常を早期に発見し報告できる体制を整備することです。
報告体制では、熱中症の自覚症状がある作業者本人、または他の作業者に熱中症のおそれがあることを発見した者が、誰にどのように報告すればよいかを明確にします。報告先の管理者や責任者の氏名、内線番号や携帯電話番号を記載した文書を作成し、作業場の見やすい場所に掲示します。
また、熱中症の初期症状であるめまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、大量の発汗などを感じたら、我慢せずに申告するよう労働者に周知徹底することが重要です。
3.2 対策②応急措置手順の作成と訓練
熱中症が疑われる場合の応急措置手順を文書化し、関係者に周知することが義務付けられています。
手順には、作業の即時中止と涼しい場所への移動、衣服をゆるめて身体を冷却する方法(首、脇の下、太ももの付け根など太い血管が通る部位を冷やす)、水分・塩分の補給方法、意識がない場合や水が飲めない場合は救急車を要請することなどを明記します。
また、緊急連絡網として、救急車の要請先(119番)、搬送先の医療機関の名称・連絡先・所在地、社内の緊急連絡先などをリスト化しておきます。自社の実態に合わせた手順を作成し、定期的に訓練を実施することで、緊急時に適切な対応ができるようにしましょう。
3.3 対策③WBGT値の測定と評価
熱中症対策を効果的に実施するには、作業環境のWBGT値を正確に把握することが重要です。
WBGT指数計を作業場所の代表的な地点に設置し、作業時間中は定期的に測定します。厚生労働省のガイドラインでは、WBGT値に応じた作業時間の目安が示されており、WBGT値31度以上では全ての作業者について作業の中止が推奨されています。
測定結果は記録として保存し、WBGT値が28度以上となる時期や時間帯を把握して、事前に対策を講じることが大切です。また、熱中症警戒アラートや熱中症特別警戒アラートが発表された日は、より一層の注意が必要です。環境省や気象庁が提供する情報を活用し、危険な日には作業時間の短縮や休憩時間の延長などの対策を実施しましょう。
3.4 対策④WBGT値を効果的に下げる環境改善【移動式エアコンの活用】
熱中症対策としてもっとも効果的なのは、作業環境のWBGT値そのものを低減することです。WBGT値を効果的に下げるには、気温、湿度、輻射熱の3要素を総合的に低減できる冷房設備の導入が必要です。
たとえば移動式エアコンは、工事不要で設置でき、キャスター付きで必要な場所に移動できるため、製造ラインや作業エリアに応じて柔軟に配置できます。とくに高性能な移動式エアコンでは、気温を5度程度下げる冷却能力があり、WBGT値を28度未満に抑えることが可能です。
実際の工場での導入事例では、移動式エアコンを作業エリアに配置することで、WBGT値を32度から26度まで低減できたケースもあります。これにより、熱中症リスクを大幅に軽減し、作業者が安全に働ける環境を実現できます。
3.5 対策⑤水分・塩分補給と休憩時間の確保
WBGT値の低減と並行して、作業者自身の熱中症予防対策も重要です。
作業中はこまめに水分と塩分を補給するよう徹底します。厚生労働省のガイドラインでは、0.1〜0.2%の食塩水、ナトリウム40〜80mg/100mlのスポーツドリンクまたは経口補水液などを、自覚症状がなくても定期的に摂取することが推奨されています。作業場所に冷水器や製氷機を設置し、いつでも冷たい飲料を摂取できる環境を整えましょう。
また、WBGT値が高い時間帯には、作業時間を短縮し休憩時間を増やす必要があります。WBGT値28〜31度では少なくとも毎時間ごとに休憩、WBGT値31度以上では作業の中止を検討します。休憩場所は冷房設備のある涼しい場所を確保し、作業者が十分に体温を下げられる環境を用意することが大切です。
4.工場の熱中症対策には移動式エアコン「ヒエスポ」がおすすめ!
2025年6月に義務化された熱中症対策に対応するには、WBGT値を効果的に低減できる設備の導入が不可欠です。移動式エアコン「ヒエスポ」は、工場の熱中症対策に最適なソリューションとして、多くの製造現場で導入されています。
「工事費用が高額で導入できない」「広い工場全体を冷やすには設備投資が莫大になる」と悩んでいる工場経営者や安全衛生管理責任者の方も多いですよね。
ヒエスポなら、工事不要で即日導入でき、必要な作業エリアにピンポイントで冷気を届けられるため、コストを抑えながら効果的な熱中症対策が実現できます。
■ヒエスポの特徴
配管工事不要で電源接続だけで即日使用可能
業務用としてパワフルな冷房能力(2.8kW~14.0kW)
冷暖房兼用で年間活用できる
キャスター付きで移動が容易
堅牢なアルミ製筐体で耐久性が高い
購入・レンタル・リースから選べる
ヒエスポを導入すれば、「作業場所が涼しくなり、従業員が快適に働けるようになった」と実感できますよ!
5.まとめ
労働安全衛生法は、工場の規模や業種に応じてさまざまな義務を定めており、従業員の安全と健康を確保するために不可欠な法律です。
とくに2025年6月に義務化された熱中症対策では、WBGT値28度以上または気温31度以上の環境で作業をおこなう場合、報告体制の整備、応急措置手順の作成、周知徹底が必須となりました。違反した場合は罰則が科されるだけでなく、労働災害が発生した際に企業の社会的責任を問われるリスクもあります。
効果的な熱中症対策を実施するには、WBGT値を根本的に低減する環境改善が重要です。移動式エアコン「ヒエスポ」なら、工事不要で即日導入でき、作業エリアの気温を効果的に下げることができます。
工場の安全衛生管理は、法令遵守だけでなく、従業員の健康と企業の信頼を守るために不可欠です。2026年以降も段階的に法改正が予定されているため、最新の情報を把握し、計画的に対策を進めましょう。

