部活の熱中症対策は必須!対策の科学的方法と環境整備の重要性を解説
「夏の部活中に倒れたらどうしよう...毎年ニュースで熱中症事故を見るたびに不安になる」
「水分補給はしているけど、それだけで本当に大丈夫なのか心配」』
部活動に励む中高生や指導する学校の方で、こうした不安を抱えている方も多いですよね。
部活中の熱中症を防ぐには、科学的根拠に基づいた深部体温を下げる対策が必要です。
①アイススラリー(氷のシャーベット)を飲む
②手のひら冷却で効率よく体温を下げる
③首・脇・太ももの付け根を冷やす
④水道水散布法(緊急時)
⑤ローテーションアイスタオル法
これらの対策を組み合わせることで、熱中症のリスクを大幅に減らせます。
また、エアコンのない体育館や武道場で活動している部活動の場合、個人の対策だけでは限界があります。室温が40℃を超えることもある環境では、根本的な解決策として空調設備の導入が必要です。
本記事では、部活中に熱中症が多発する理由や、科学的に効果が証明された深部体温を下げる冷却方法、効率的な空調設備の導入をおすすめする理由について解説します。
1.部活中の熱中症は命に関わる
熱中症は、気温や湿度が高い環境で体温調節機能が追いつかなくなり、体内に熱がこもって引き起こされる健康障害です。部活動は長時間の激しい運動を伴うため、熱中症のリスクが特に高く、毎年多くの事故が発生しています。
また、部活動では防具や厚手のユニフォームを着用することが多く、さらに熱がこもりやすい環境になるため、通常よりも熱中症のリスクが高まります。日本内科学会・総合内科専門医で日本スポーツ協会スポーツドクターの専門家も、「熱中症は命を落とすこともある病気」と警鐘を鳴らしているほどです。
実際に熱中症による死亡事故は毎年報告されており、2025年だけでも複数の都道府県で重大な事故が発生しました。
部活動の指導者や保護者、そして部員自身が熱中症の危険性を正しく理解し、科学的根拠に基づいた対策を実践することが、命を守るために不可欠です。
2.部活中に熱中症が多発する3つの理由
部活動で熱中症が多発するのには、明確な理由があります。ここからは部活中に熱中症が多発する3つの理由を解説します。
2.1 理由①長時間の激しい運動で体温が上昇し続ける
部活動は通常、1〜3時間にわたって激しい運動を継続します。この間、筋肉が活発に動くことで大量の熱が体内で発生し、体温が上昇し続けます。
運動中は安静時の10倍以上の熱が体内で産生されるため、汗をかいて体温を下げようとしますが、気温や湿度が高い環境では汗が蒸発しにくく、体温調節が追いつきません。
とくにランニングや持久走、サッカーやバスケットボールなど全身を使う競技では、体温が39℃以上に上昇することも珍しくありません。この状態が長時間続くと、体温調節機能が限界を迎え、熱中症を引き起こします。
2.2 理由②防具や厚手のユニフォームが熱を閉じ込める
剣道や野球、アメリカンフットボールなど、防具を着用する部活動では、身体から発生した熱が外に逃げにくいです。
剣道の防具は頭部から胴体まで覆うため、通気性が悪く、防具の中の温度が50℃を超える場合もあります。野球のキャッチャーも同様に、プロテクターやヘルメットで全身が覆われるため、熱がこもりやすい状態です。
また、吸湿性の低い化学繊維のユニフォームや、黒や紺色など濃い色の服は、太陽の熱を吸収しやすく、体温上昇を加速させます。
こうした環境では体温を効果的に下げることが難しく、通常よりも熱中症のリスクが2〜3倍高まると言われています。
2.3 理由③根性論や我慢の文化で体調不良を言い出せない
日本の部活動には「根性で乗り切る」「水を飲むのは甘え」といった古い考え方が残っている場合があります。こうした文化の中では、体調不良を感じても言い出せず、我慢してしまう部員が少なくありません。
とくに大会前や試合中は、「チームに迷惑をかけたくない」「レギュラーを外されたくない」という心理が働き、限界を超えても無理をしてしまいがちです。
また、指導者が「気合が足りない」と叱咤激励する指導スタイルの場合、部員は体調不良を訴えにくくなります。このような環境では、熱中症の初期症状を見逃し、重症化してから発見されるケースが多発します。
熱中症は我慢や根性では防げません。体調不良を気軽に言い出せる環境づくりが、部活動の安全を守るために不可欠です。
3.科学的に効果が証明された深部体温を下げる冷却方法5選
熱中症予防で重要なのは、身体の深部体温を効果的に下げることです。表面だけを冷やしても効果は限定的なため、科学的に証明された冷却方法を実践しましょう。
①アイススラリー(氷のシャーベット)を飲む
②手のひら冷却で効率よく体温を下げる
③首・脇・太ももの付け根を冷やす
④水道水散布法(緊急時)
⑤ローテーションアイスタオル法
ここからは、科学的に効果が証明された深部体温を下げる冷却方法を解説します。
3.1 ①アイススラリー(氷のシャーベット)を飲む
アイススラリーとは、氷の粒子を含んだシャーベット状の飲料で、深部体温を効果的に下げる冷却方法として注目されています。
通常の冷水よりも温度が低く、胃や腸で熱を吸収しながらゆっくり溶けるため、身体の内側から効率よく冷却できます。運動前や休憩時に飲むことで、深部体温の上昇を抑制し、熱中症予防に高い効果を発揮します。
練習前や休憩時に積極的に摂取しましょう。
3.2 ②手のひら冷却で効率よく体温を下げる
手のひらには、体温調節に重要な役割を果たす特殊な血管(AVA:動静脈吻合)が集中しています。手のひらを冷やすことで、冷えた血液が全身を巡り、深部体温を効率よく下げられます。
冷却方法は簡単で、15℃程度の冷水に手のひらを3~5分間浸すだけです。氷水のように冷たすぎると血管が収縮して逆効果になるため、適度な温度がポイントです。
3.3 ③首・脇・太ももの付け根を冷やす
首の両側、脇の下、太ももの付け根には太い血管が通っているため、これらの部位を冷やすことで効率よく体温を下げられます。
保冷剤や濡れタオル、冷却スプレーなどを使って、これらの部位を集中的に冷やしましょう。とくに休憩時間や練習後に実践すると、熱中症予防に効果的です。
ただし、冷やしすぎると血管が収縮して血流が悪くなるため、保冷剤を直接肌に当てる場合はタオルで包むなど、適度な冷却を心がけてください。
3.4 ④水道水散布法(緊急時)
意識障害が疑われる重症の熱中症の場合、現場ですぐに身体を冷やす必要があります。学校や一般のスポーツ現場では、水道につないだホースで全身に水をかけ続ける「水道水散布法」が推奨されています。
救急車を呼んだ後、到着を待つ間も身体を冷やし続けることが重要です。衣服の上から水をかけ、風を送って気化熱で体温を下げます。
この方法は緊急時の応急処置であり、日常の予防策ではありません。しかし、いざという時のために指導者や部員全員が知っておくべき知識です。
3.5 ⑤ローテーションアイスタオル法
ローテーションアイスタオル法は、氷水に浸したタオルを全身にかけて冷却する方法です。
タオルを複数枚用意し、氷水に浸して絞ったものを首、額、脇の下、太ももなどに当てます。タオルがぬるくなったら新しい冷たいタオルと交換する「ローテーション」を繰り返すことで、持続的に体温を下げられます。
4.個人の対策だけでは限界がある!効率的な空調設備の導入をおすすめする理由
水分補給や冷却方法など、個人でできる対策を実践しても、環境そのものが過酷であれば熱中症を完全には防げません。
個人の対策は、あくまで「既存の環境の中でリスクを減らす」ものであり、環境自体を変えるものではないためです。気温35℃、湿度80%の環境で、いくら水分補給や冷却をおこなっても、熱中症のリスクをゼロにすることはできません。
一方、空調設備を導入して快適な室温に保てば、WBGTも安全な範囲に収まり、熱中症のリスクを大幅に減らせます。環境整備は、個人の努力に頼らず、構造的に安全を確保できる唯一の方法です。
また、空調の効いた環境では、選手のパフォーマンスも向上します。暑さによる体力消耗が減り、集中力を保ちやすくなるため、練習の質が高まります。
さらに、保護者や学校関係者に対しても「安全な環境で部活動をおこなっている」というメッセージを示すことができ、信頼性の向上にもつながります。
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6.まとめ
熱中症予防でもっとも重要なのは、科学的根拠に基づいた対策を組織的に実践することです。個人の努力だけでなく、環境そのものを改善することが、根本的な解決につながります。
とくにエアコンのない体育館や武道場で活動している部活動では、室温が40℃を超える過酷な環境になることも少なくありません。いくら水分補給や冷却をおこなっても、環境自体が危険であれば熱中症を完全には防げません。
「体育館にエアコンを設置するのは難しい...」とお悩みの方もいますよね。
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