熱中症対策を怠った企業への罰則とは?違反時の罰則と今すぐ始めるべき対策を解説
「熱中症対策が義務化されたと聞いたけれど、違反したら企業にどんな罰則がある?」
「対策を怠った場合、刑事罰や損害賠償のリスクはどの程度なのか知りたい」
企業に義務として科された熱中症対策をおこなわなかった場合、具体的にどんな罰則があるのか不安に感じる経営者や担当者の方は多いですよね。
近年の気温上昇に伴い、職場での熱中症による労働災害が深刻化しています。こうした状況を受けて、国は労働安全衛生法を改正し、企業に対して熱中症対策を義務化しました。
熱中症対策を怠った場合、企業は刑事罰・行政処分・民事責任の3つの面から追及されます。
罰則の種類 |
内容 |
|---|---|
刑事罰 |
6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金(労働安全衛生法違反) |
行政処分 |
・労働基準監督署による是正勧告 ・使用停止命令 ・書類送検と企業名公表 |
民事責任 |
労災認定後の損害賠償請求(数千万円から億単位の可能性) |
罰則を避けるためには、WBGT値の測定と記録、作業環境の改善、作業時間の管理、教育の実施、緊急時対応の整備などが必要です。
本記事では、熱中症対策を怠った企業に科される罰則や、罰則リスクを下げるための対策などについて解説します。工場の暑さ対策におすすめの空調機器についても紹介するので、作業環境の改善をおこないたい経営者や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
1.企業の熱中症対策は法律で何が義務化されているか
労働安全衛生法の改正により、企業には熱中症対策が法的に義務付けられています。ここでは、法改正の内容と事業者に求められる対策の全体像を解説します。
1.1 労働安全衛生法改正と熱中症対策の枠組み
2021年4月に労働安全衛生法が改正され、労働安全衛生規則に熱中症対策に関する条項が追加されました。これにより、事業者には従業員の熱中症予防が法的義務として科されています。
改正の背景には、職場での熱中症による労働災害の増加があります。厚生労働省の令和6年の統計によると、職場での熱中症による死傷者数(死亡・休業4日以上)は1,000人を超えており、死亡事故も31件発生しています。
施行は段階的に進められ、2021年4月の改正時点では努力義務とされていました。2023年4月から一部の高温作業について義務化が開始され、現在は全面的な義務化の段階に入っています。
すべての事業者は、業種や規模を問わず、適切な熱中症対策を実施することが必要です。
1.2 事業者に求められるおもな対策の柱
労働安全衛生規則では、事業者に次の5つの対策が義務付けられています。
義務化された対策項目 |
具体的な内容 |
|---|---|
作業環境管理 |
WBGT値(暑さ指数)の測定と記録、基準値を超える場合の環境改善措置 |
作業管理 |
作業時間の短縮、こまめな休憩時間の確保、単独作業の回避 |
健康管理 |
作業前の体調チェック、作業中の巡視と声かけ、異常時の迅速な対応 |
労働衛生教育 |
管理者・作業者への熱中症予防教育、応急処置方法の指導 |
緊急時対応体制 |
救急搬送体制の構築、応急措置設備の準備、緊急連絡網の整備 |
これらの対策は、どれか一つでも欠けていれば法令違反となる可能性があります。「まだ準備が整っていない」という企業は、早急に対策を講じることが必須事項です。
2.熱中症対策を怠った企業に科される罰則と追及の実態
熱中症対策の義務化は努力義務ではなく法的義務です。対策を怠った場合、企業は刑事罰・行政処分・民事責任の3つの面から厳しく追及されます。
ここからは、熱中症対策を怠った企業に科される罰則と追及の実態について解説します。
2.1 罰則①労働安全衛生法等に基づく刑事罰・罰金
労働安全衛生法違反には、刑事罰が定められています。具体的には、労働安全衛生法第119条により6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、同法第120条により50万円以下の罰金が科される可能性があります。
刑事罰は法人だけでなく、現場の責任者や経営者個人にも及ぶ場合があるため注意が必要です。両罰規定により、法人に対する罰金と、違反行為を行った個人に対する罰則が同時に科されるおそれもあります。
実際に、製造工場で、熱中症による労災発生後の調査で健康管理体制が不十分だったとして送検されたケースが報告されています。
2.2 罰則②行政による監督指導・改善命令・書類送検
労働基準監督署は、熱中症による労災が発生した場合、必ず立ち入り調査を実施します。調査では、WBGT値の測定記録、教育実施記録、健康管理記録などの提出が求められます。
記録が不十分、または対策を講じていなかった場合、まず是正勧告がおこなわれます。是正勧告に従わない場合や、悪質な違反と判断された場合は、使用停止命令などの行政処分が下されることが多いです。
さらに重大な違反や、改善が見られない場合は、書類送検に進みます。書類送検されると企業名が公表され、メディアで報道される可能性が高いです。
労働基準監督署は定期的に事業場への立ち入り調査も実施しており、労災が発生していなくても、熱中症対策が不十分と判断されれば指導の対象となります。夏季には熱中症対策を重点項目とした集中監督がおこなわれるため、日頃からの備えが不可欠です。
2.3 罰則③労災・使用者責任・損害賠償など民事・実務上のリスク
刑事罰や行政処分とは別に、企業は民事上の責任も負います。
熱中症により従業員が負傷または死亡した場合、労災認定されます。さらに、企業が安全配慮義務を怠っていたと判断されれば、民事上の損害賠償責任を問われます。
損害賠償額は、被害の程度や従業員の年齢・収入などによって異なりますが、死亡事故の場合は数千万円から億単位に及ぶケースが多いです。安全配慮義務違反が認められると、企業は多額の賠償金を支払わなければいけません。
さらに、熱中症による労災事故がメディアで報道されれば、「従業員の安全を軽視している企業」というイメージが定着し、企業ブランドに深刻なダメージを与えるでしょう。
3.罰則リスクを下げるための対策の優先順位と進め方
罰則を避け、従業員の安全を守るためには、段階的かつ体系的に対策を進める必要があります。ここでは、実務的な対策の進め方を3つのステップで解説します。
ステップ |
内容 |
|---|---|
STEP①現状把握とWBGT測定・記録 |
WBGT値測定器を導入し、作業場所ごとに暑さ指数を測定 結果を記録として保管する |
STEP②リスクの高い工程・場所から環境改善と作業管理をセットで設計 |
リスクの高い工程や場所から優先的に対策を実施する |
STEP③教育・緊急時対応・継続的な見直し |
設備と運用の対策が整ったら、教育と緊急時対応の体制を構築する |
それぞれの詳細をひとつずつ見ていきます。
3.1 STEP①現状把握とWBGT測定・記録
対策の第一歩は、自社の作業環境を正確に把握することです。WBGT値測定器を導入し、作業場所ごとに暑さ指数を測定します。測定は、気温が最も高くなる時間帯に実施し、結果を記録として保管しましょう。
測定の結果、WBGT値が28度以上になる場所や時間帯を特定します。28度未満であっても予防措置は必要ですが、28度以上では積極的な対策が義務となります。31度以上になる場合は、作業の中止または大幅な制限を検討する必要があります。
記録は労働基準監督署の調査で提出を求められるため、測定日時、測定場所、測定値、測定者を明記し、最低でも3年間は保管してください。
3.2 STEP②リスクの高い工程・場所から環境改善と作業管理をセットで設計
現状把握の結果をもとに、リスクの高い工程や場所から優先的に対策を実施します。対策は、環境改善(設備面)と作業管理(運用面)をセットで設計することが重要です。
環境改善では、空調設備の導入や増設が効果的です。工場全体の温度を下げることが理想ですが、コストの関係で難しい場合は移動式エアコンや大型扇風機を活用し、作業者の近くに冷風を送りましょう。
設備投資に時間がかかる場合でも、作業管理の見直しはすぐに実施できます。WBGT値に応じて作業時間を制限し、こまめな休憩スケジュールを設定しましょう。連続作業時間を45分以内に抑え、15分の休憩を挟むサイクルを基本とします。
3.3 STEP③教育・緊急時対応・継続的な見直し
設備と運用の対策が整ったら、教育と緊急時対応の体制を構築します。
管理者と作業者の両方に対して、熱中症予防に関する教育を年1回以上実施しましょう。教育内容には、熱中症のメカニズム、初期症状の見分け方、応急処置の方法、水分・塩分補給のタイミングなどを含めます。
教育実施後は、実施日時、参加者、教育内容を記録として保管します。新入社員や配置転換者には、作業開始前に必ず教育を実施してください。
対策は一度実施して終わりではなく、継続的な見直しが必要です。夏季の終わりには、WBGT値の記録や対策の効果を検証し、翌年に向けた改善点を洗い出します。作業者からのフィードバックも収集し、現場の実態に即した対策にブラッシュアップしていきましょう。
4.工場の暑さ対策には移動式エアコンがおすすめ
工場は、適切な温度管理をおこなうことが求められますが、常設型の業務用エアコンを設置するとなるとかなり高額になってしまいます。企業としての予算が限られているなかで、大型の空調設備整備に予算を確保することが難しいのが正直なところです。
そこでおすすめなのが「移動式エアコン」です。
移動式エアコンは工事が不要で、本体のプラグをコンセントにつなぐだけでその日から使用できます。
一般的にキャスターで自由に移動できるタイプのため、とくに冷やしたい・暖めたい場所の近くに設置でき、特定のスペースに風を集中させることで無駄なく効率のよい稼働を実現可能です。
機種にもよりますが、移動式エアコンは業務用で利用されることを想定しているため、高い能力を備えているものが多くなっています。さまざまなサイズ・冷房・暖房能力を備えているものがあるため、工場や倉庫の大きさ・構造を考慮したうえで、最適なものを設置するのがおすすめです。
5.移動式エアコンなら信越空調の「ヒエスポ」
「性能の高い移動式エアコンが欲しい」
「効果的に局所空調できる空調設備を取り入れたい」
そうお考えのあなたは、信越空調の「ヒエスポ」がおすすめです。
ヒエスポは、工場のように天井が高く、空間が広い現場でも活躍するよう設計されています。直進性のある大風量の風を吹くので、とくに冷やしたい場所の近くで稼働させることで、快適な温度を保つ一定のエリアを作ることが可能です。
一番小さいサイズで2.8kW、一番大きいサイズで14.0kwの能力を備えており、環境にあわせて幅広い能力から選ぶことが可能です。
お客様に合わせたさまざまな機種を、販売からレンタル・リースまで幅広く対応しています。移動式エアコンの使用を検討したい方は、ぜひ一度信越空調にご相談ください。
6.まとめ
企業が熱中症対策を怠った場合の罰則についておさらいしましょう。
罰則の種類 |
内容 |
|---|---|
刑事罰 |
6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金(労働安全衛生法違反) |
行政処分 |
・労働基準監督署による是正勧告 ・使用停止命令 ・書類送検と企業名公表 |
民事責任 |
労災認定後の損害賠償請求(数千万円から億単位の可能性) |
熱中症対策の義務化は、努力義務ではなく法的義務です。対策を怠れば、刑事罰、行政処分、民事責任の3つの面から厳しく追及されます。
罰則を避けるためには、まずWBGT値の測定を開始し、記録を残すことが第一歩です。そのうえで、リスクの高い場所から優先的に環境改善と作業管理を実施します。
空調設備の導入は効果的な環境改善の手段であり、移動式エアコンは導入ハードルが低く、柔軟に配置を変更できるため、工場の暑さ対策に適しています。
熱中症対策への投資は、コストではなく企業を守るための必要不可欠な投資です。対策を怠ることで生じる罰則や経営リスクと比較すれば、早期の対応が最も合理的な選択といえます。
もし、工場に効果的な空調機器を導入したい方は、移動式エアコンがおすすめです。移動式エアコンの導入を検討したい方は、ぜひ一度信越空調にご相談ください。

